埋没法が10年以上もつ理由は癒着?二重ラインが定着する仕組みを解説

埋没法が10年以上もつ理由は癒着?二重ラインが定着する仕組みを解説

「埋没法で作った二重は、何年くらいもつのだろう」と不安に感じている方は多いのではないでしょうか。実は、埋没法の二重が10年以上持続するケースは珍しくありません。

その鍵を握るのが「癒着」と呼ばれる組織の変化です。糸の周囲にできた結合組織がまぶたの構造を変え、二重ラインを安定させます。

この記事では、まぶたの治療に携わる医師の視点から、埋没法の二重がなぜ長期間維持されるのか、癒着が起こる流れと定着の仕組みをわかりやすく解説していきます。

目次

埋没法で作った二重が10年以上続く人がいる理由

埋没法の二重が10年以上もつ人がいるのは、糸によって生まれた癒着がまぶたの組織構造そのものを変化させるためです。単に糸で皮膚を留めているだけではなく、組織同士が結びつくことで自然な二重が維持されます。

埋没法で二重が長持ちする鍵は「組織の癒着」にある

埋没法では、ナイロンなどの細い糸をまぶたの皮膚側から瞼板(けんばん)や挙筋腱膜(きょきんけんまく)に通して二重のラインを作ります。糸を通した周囲の組織は、異物に対する生体反応として徐々に線維化し、互いにくっつきます。

この「くっつき」が医学的に癒着と呼ばれる現象です。癒着がしっかり形成されると、たとえ糸が劣化してもラインが崩れにくくなります。

切開法との違いから見える埋没法の定着力

切開法は皮膚を切って直接組織同士を縫合するため、癒着が面で広く形成されやすいのが特徴です。一方で埋没法は、糸を通した「点」や「線」に沿って癒着が生じるため、切開法ほどの固定力はありません。

ただし、まぶたの条件が合えば、埋没法でも十分な強度の癒着が形成されます。とくに皮膚の薄い方や脂肪の少ない方では、術後早い段階で癒着が安定しやすいでしょう。

埋没法と切開法の比較

比較項目埋没法切開法
癒着の形成パターン点・線状に形成面状に広く形成
持続期間の目安数年〜10年以上半永久的
ダウンタイム短い(数日〜1週間)やや長い(1〜2週間)

10年以上もった二重は自然に定着したといえる

術後10年以上にわたって二重の形が維持されている場合、糸の保持力だけではなく、癒着による組織の定着が完了していると考えてよいでしょう。

糸が体内で劣化していても二重が崩れないのは、まぶたの組織同士が結びつき、二重を作る構造が定着しているためです。

もちろん個人差はありますが、年齢を重ねてもラインが安定している方は、それだけ癒着が強固に完成した状態といえます。

埋没法の糸はまぶたの組織とどうやって癒着するのか

埋没法の糸がまぶたに癒着する流れは、術後の炎症反応から始まり、線維組織の形成を経て完了します。異物である糸に対して身体が反応することで、結果的に二重のラインが定着する仕組みです。

糸を通した周囲の組織に線維化が生じる

手術でまぶたに糸を通すと、周囲の組織に微小な炎症反応が起こります。身体はこの異物を排除しようとしますが、排除できないナイロン糸に対してはコラーゲンを中心とした線維組織で糸を取り囲みます。

この反応が「被膜形成」であり、糸の周囲が固い組織で覆われることで、二重ラインを保持する構造が強化されるのです。

挙筋腱膜と皮膚の間にできる結合組織が二重を支える

自然な二重まぶたの方は、眼瞼挙筋腱膜(がんけんきょきんけんまく)の線維が皮膚側へ伸びて付着しています。埋没法では糸がこの役割を代替し、皮膚と腱膜を連結します。

術後に生じる線維化は、いわば天然の接着剤のように皮膚と腱膜の間を埋め、二重ラインを支える「橋」になります。天然の二重と同様の構造に近づくことで、目を開けるたびに自然な折り目が再現されるわけです。

時間の経過とともに癒着はどこまで強くなるのか

癒着の強度は術後3〜6か月でかなり安定し、1年を過ぎるころにはほぼ完成形に達します。ただし、まぶたの厚みや脂肪量によっては形成に時間がかかる場合もあるでしょう。

10年以上にわたって二重が維持されている方は、この癒着が十分な強度で完成し、加齢による変化にも耐えられるレベルに到達していると考えられます。

癒着形成の時間経過

術後の期間癒着の状態
術後1〜2週間炎症反応が活発で腫れがある時期
術後1〜3か月線維組織が徐々に形成され始める
術後6か月〜1年癒着がほぼ完成し二重の形が安定
術後数年以降成熟した癒着が組織を長期的に保持

癒着が起きやすい人・起きにくい人はまぶたの厚さで決まる

埋没法の癒着が十分に起こるかどうかには個人差があり、まぶたの皮膚の厚さや脂肪量が大きく影響します。自分のまぶたの状態を知っておくと、術後の見通しを立てやすくなるでしょう。

まぶたの皮膚が薄い人ほど癒着が起きやすい

皮膚が薄く、皮下組織の少ないまぶたでは、糸を通すことで皮膚と瞼板・腱膜の距離が近くなるため、線維組織が効率よく両者を結びつけます。結果として、短期間で安定した癒着が得られやすいのです。

反対に、皮膚が厚くたるみが多い方は、皮膚と腱膜の間に距離があるため癒着が弱くなりがちです。こうしたケースでは、切開法のほうが適している場合もあります。

眼窩脂肪が多い場合は二重ラインが不安定になりやすい

まぶたの眼窩脂肪(がんかしぼう)が多いと、糸が脂肪の層に埋もれやすくなり、皮膚と腱膜の間に確実な癒着が生じにくくなります。脂肪が糸の固定を妨げてしまうためです。

とくに上まぶたが腫れぼったい、いわゆる「重いまぶた」の方は、埋没法だけでは二重が安定しにくいケースがあります。医師と相談のうえ、脂肪除去を併用するなどの対策を検討するとよいかもしれません。

癒着に影響する主な要因

  • まぶたの皮膚の厚さ(薄いほど癒着しやすい)
  • 眼窩脂肪の量(少ないほど安定しやすい)
  • 眼瞼挙筋の強さ(開瞼力が強いほど二重が深くなる)
  • 術後の生活習慣(目元への刺激の有無が影響する)

加齢によるまぶたのたるみと癒着の関係

年齢を重ねると皮膚のハリが失われ、まぶたの皮膚が余ってきます。若い頃に埋没法で二重を作った方でも、加齢でたるみが進むと二重の幅が狭くなったり、ラインがぼやけたりする場合があるでしょう。

ただし、癒着がしっかり完了していれば二重そのものが消失するケースは少なく、幅の変化にとどまることがほとんどです。たるみが気になる場合は、再度の施術で調整も可能です。

埋没法の二重ラインが安定するまでにかかる期間と経過

埋没法の二重ラインが安定するまでには、通常半年から1年ほどの期間が必要です。術後すぐに「取れてしまうのでは」と不安になる方もいますが、癒着が進むにつれてラインは着実に落ち着いていきます。

術後1〜3か月で二重ラインの形が落ち着いてくる

手術直後は腫れの影響で二重の幅が広く見えたり、左右差が目立ったりするときがあります。しかし、術後1か月もすると腫れはかなり引き、本来の二重幅に近づいていきます。

3か月ほど経過すると、ほとんどの方で二重の形がはっきりしてきます。この時期はまだ癒着が成熟していないため、強い刺激を避けることが大切です。

半年〜1年で糸の周囲に安定した癒着が完成する

術後6か月を過ぎるころから、糸の周囲に形成された線維組織が成熟し、組織同士のつながりが強固になります。多くの方は、この時期に「二重が自分のものになった」と実感されるようです。

1年を経過しても二重の幅や形に変化がなければ、癒着はほぼ完成したと判断できます。

年単位で二重が変化しなければ定着したと判断できる

術後2〜3年経過しても二重ラインが崩れない場合、組織の定着は十分に完了しています。5年、10年と経過観察を重ね、安定が続いていればなおさらです。

ただし定着後であっても、加齢や体重の大幅な変動によって二重の見え方が変わる可能性はゼロではありません。変化に気づいたら、早めに医師に相談するとよいでしょう。

二重の安定度チェック

経過期間安定度の目安
〜3か月形成途中。腫れの影響で本来の形ではない
6か月〜1年癒着が成熟し、ほぼ完成形に近い
2年以上定着が完了。長期維持が見込める

埋没法の二重が元に戻ってしまう原因は糸のゆるみだけではない

埋没法で作った二重が元に戻る原因は、糸のゆるみや断裂だけではありません。日常生活での習慣や体型の変化なども癒着の安定性を左右するため、複合的な要因を把握しておくことが大切です。

糸のゆるみや断裂が二重消失の直接的な原因になる

埋没法に使用されるナイロンの糸は非常に細く、長い年月のうちに劣化することがあります。糸が緩んだり切れたりすると、癒着だけで二重を維持する力が不足し、ラインが浅くなったり消えたりする場合があるのです。

とくに術後まだ癒着が成熟していない時期に糸が外れると、二重が消失するリスクは高くなります。初期の安定がいかに重要かがわかるでしょう。

まぶたを頻繁にこする習慣が癒着を弱める

花粉症やアレルギーで目をこする癖がある方は要注意です。まぶたに繰り返し外力が加わると、形成途中の癒着が破壊されたり、安定した癒着が徐々に剥がれたりする可能性があります。

目の周りをこすらないようにするのは、二重を長持ちさせるうえで非常に重要なポイントです。かゆみがある場合は目薬で対処するなど、物理的な刺激を減らす工夫が求められます。

埋没法の二重が元に戻る主な原因

原因詳細
糸のゆるみ・断裂ナイロン糸の経年劣化による固定力の低下
まぶたへの物理的刺激目をこする・強くこすることで癒着が剥がれる
体重の大幅な増減まぶたの脂肪量が変化し二重の形が崩れる
加齢による皮膚のたるみ皮膚が伸び、二重の幅やラインが変化する

体重の大幅な変動がまぶたの厚みに影響を及ぼす

大幅に体重が増加すると、まぶたにも脂肪がつきやすくなります。脂肪が増えたことで糸の固定力と癒着の強度だけでは二重を維持しきれなくなり、ラインが薄くなるケースがあります。

逆に急激な体重減少でも、まぶたの脂肪が減って皮膚が余り、二重の幅が変わってしまうときがあります。安定した体重を維持する取り組みは、二重の持続にもプラスに働きます。

二重を長く保つために術後に気をつけたい生活習慣

埋没法の二重を長期間維持するには、術後のケアと日常生活での習慣が大きく影響します。癒着を安定させるための基本的な注意点を押さえておきましょう。

術後しばらくは目元への強い刺激を避ける

手術直後から1か月ほどの間は、まぶたの組織が回復途中です。この時期に目を強くこすったり、うつぶせで寝たりすると、糸に負荷がかかり癒着の形成を妨げてしまいます。

洗顔の際もまぶたをゴシゴシ擦らず、やさしく押さえるように洗うことが大切です。タオルで拭くときも、軽く当てるだけにしましょう。

アイメイクやまつげエクステは医師の許可が出てから再開する

アイメイクを早い段階で再開したい気持ちはよくわかりますが、まぶたの傷が完全に治る前にメイクを重ねると、感染や炎症のリスクが高まります。

一般的には術後1週間程度でメイクの再開が可能といわれますが、医師の指示を必ず確認してください。

まつげエクステは施術時にまぶたを引っ張る動作が含まれるため、術後しばらくは控えたほうが安心です。

花粉症や目のかゆみは早めに治療して目をこすらない

花粉症やハウスダストによるアレルギーがある方は、埋没法の前後を問わず眼科で適切な治療を受けることをおすすめします。抗アレルギー点眼薬を使用すると、かゆみを抑え、無意識に目をこする回数を減らせます。

目をこする習慣は癒着だけでなく、まぶた全体の皮膚にも負担をかけ、たるみの原因にもなりかねません。長い目で見ても、目元を優しく扱う意識は大切です。

術後に避けたい行動

  • 目元を強くこする・叩く(花粉症・アレルギー時も含む)
  • 術後すぐの激しい運動や長時間の入浴
  • 医師の許可なくアイメイクやまつげエクステを再開する
  • うつぶせ寝など、まぶたを圧迫する姿勢で長時間過ごす

埋没法のやり直しや抜糸が必要になるのはどんなときか

埋没法の二重が維持されている限り、抜糸ややり直しは必要ありません。しかし、左右差が大きくなった場合や、しこり・痛みなどのトラブルが出た場合は、医師の診察を受けて対応を検討すべきです。

二重の幅が左右で大きく異なってきた場合

術後しばらくは腫れの引き方に左右差が出ることがありますが、半年以上経っても左右の幅が明らかに違う場合は、片側の糸が緩んでいる可能性があります。

左右差が目立つほど大きければ、片側だけの再施術で修正できるケースもあるため、気になったら早めに相談すると安心でしょう。

抜糸・やり直しが検討される状況

状況対応の例
左右差が半年以上続く片側の再施術、または両側のやり直し
糸玉がまぶたから透ける糸の除去、または位置の調整
痛みや違和感が継続する抜糸による症状の改善
二重のデザインを変えたい抜糸後に新しい幅で再施術

糸玉がまぶたの表面から透けて見えるとき

埋没法に使う糸の結び目(糸玉)は通常、皮膚の下に埋め込まれます。

しかし、まぶたの皮膚が非常に薄い方や、長期間の経過で皮膚がさらに薄くなった場合、糸玉が皮膚の下にポコッとしたしこりとして触れたり、青白く透けて見えたりするときがあります。

見た目が気になる場合には、糸を取り除く処置が可能です。糸玉による美容上の問題は、多くの場合は短時間の処置で改善します。

目の痛みや違和感が続くなら早めに受診する

埋没法の術後に、まぶたの引きつれ感やチクチクとした痛みが数か月以上続く場合は、糸が組織を圧迫しているか、瞼板に炎症を起こしている可能性があります。

放置すると角膜を傷つけるリスクもあるため、気になる症状がある場合は早めに眼科や形成外科を受診してください。

抜糸によって症状が改善することがほとんどです。抜糸しても癒着が十分に完成していれば、二重が完全に消えることは少ないとされています。

よくある質問

埋没法の癒着は何年くらいで完成しますか?

埋没法の癒着は、術後6か月から1年ほどで概ね完成します。糸の周囲に線維組織が形成され、皮膚と腱膜をつなぐ構造が安定するまでには個人差があります。

まぶたが薄い方は比較的早く完成しやすく、まぶたが厚い方はやや時間がかかる傾向です。2年以上経過しても二重の形が変わらなければ、定着していると考えてよいでしょう。

埋没法の癒着が不十分だった場合、二重はすぐに取れてしまいますか?

癒着が不十分でも、すぐに二重が消えるとは限りません。糸の保持力が残っている間は二重が維持されるため、直後に消失するケースは多くないでしょう。

ただし、癒着が弱い状態で糸が緩んだり切れたりすると、二重のラインが薄くなったり、完全に消えたりする可能性が出てきます。術後のケアを丁寧に行い、癒着の形成を妨げないことが重要です。

埋没法の抜糸をしたあとでも癒着で二重が残ることはありますか?

はい、癒着が十分に完成した状態で抜糸を行った場合、二重のラインが残ることは珍しくありません。長年にわたって形成された線維組織が皮膚と腱膜を結びつけているため、糸がなくなっても構造が維持されることがあります。

ただし、癒着の強度や個人のまぶたの状態によっては、抜糸後に二重が浅くなったり消えたりする場合もあります。抜糸を検討する際は、医師にどの程度二重が残りそうかを相談してみてください。

埋没法で10年以上もった二重が、その後取れてしまうことはありますか?

10年以上安定していた二重が突然消えることは稀ですが、加齢によるまぶたのたるみや、体重の大幅な増減が重なると、二重の形が変化する可能性はあります。

完全に消えるというよりも、二重の幅が狭くなったり、ラインがぼやけたりするケースのほうが多いでしょう。変化が気になった場合は、再度の施術で調整することも可能です。

埋没法の癒着によるしこりや違和感が出ることはありますか?

まれに、糸の結び目周囲に過剰な線維組織が形成され、小さなしこり(肉芽腫)として触れることがあります。また、まぶたの引きつれ感や軽い違和感を覚える方もいます。

多くの場合、しこりは外見に大きな影響を及ぼさず経過観察で対応可能です。しかし、痛みを伴ったり大きくなったりする場合は、抜糸やしこりの除去で対処できます。症状が気になるときは、施術を受けた医療機関に相談してください。

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この記事を書いた人

Dr.王子 富登のアバター Dr.王子 富登 日本形成外科学会専門医

オジスキンクリニック医師 / 日本医師会認定産業医 / 医学博士

2010年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院形成外科、東邦大学医療センター佐倉病院形成外科(医局長)などを経て現職。 形成外科専門医として大学病院で研鑽を積み、2016年度には眼瞼下垂手術の執筆症例数が千葉県最多を記録。まぶた眼瞼外来の開設や、大手美容クリニックでの勤務経験も併せ持つ。

「目の前の患者さんを自分の家族だと思ってメスを持つ」を信条に、二重整形、眼瞼下垂、まぶたのたるみ治療、他院修正など、「まぶた治療」のスペシャリストとして機能と美しさを両立させる緻密な手術に定評がある。

【所属学会】
日本形成外科学会
日本美容外科学会(JSAPS)
日本頭蓋顎顔面外科学会

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