【医師監修】
陥没乳頭で授乳は可能?
シリンジ法(吸引器)ってどうなの?

症例写真付きで解説

陥没乳頭(かんぼつにゅうとう)は、見た目だけでなく授乳機能にも影響する疾患です。特に「将来母乳で育てたい」と希望する女性にとっては、乳頭が吸啜されにくい状態が大きな壁になります。国際論文でも、授乳中の保存的治療(陰圧法やシリンジ法)の現実的な困難さが指摘されており、妊娠前の外科的手術が有効かつ現実的な選択肢とされています。本記事では、最新の知見とともに、当院の症例を交えながら、陥没乳頭の治療についてわかりやすく解説します。

目次

1.陥没乳頭とは?症状と原因

陥没乳頭とは?症状と原因

陥没乳頭とは、乳頭が乳輪の表面より内側に埋もれている状態を指します。程度には軽度から重度まであり、軽度では指でつまむと乳頭が外に出ますが、重度の場合はつまんでも出てきません。

原因としては、先天的な乳管の短さや繊維性組織の癒着、乳腺の発育不全などが挙げられます。思春期や妊娠をきっかけに目立つことも多く、実は女性の
約2〜10%に存在するとされ、意外に多い疾患です。

男性にも見られ、近年では審美的な理由で治療を希望される男性患者も増えています。

2.陥没乳頭と授乳トラブルの関係

陥没乳頭と授乳トラブルの関係

乳頭が陥没していると、赤ちゃんがうまく吸啜(きゅうてつ)できず、授乳がうまくいかないケースが多々あります。赤ちゃんは乳頭をくわえ込むことで母乳を吸い出しますが、乳頭が出ていない状態ではくわえ込むこと自体が難しくなります。

また、陥没している部分に母乳がたまりやすく、乳腺炎や詰まりの原因になることもあります。かなりつらい痛みや発熱を伴い、授乳の継続を断念することになることもあります。

3.妊娠後・授乳中の
保存的治療法の限界

国際的な文献(2022年、International Breastfeeding Journal)では、授乳期に行う保存的治療法──陰圧法やシリンジ法の限界について明記されています。

シリンジ法の課題

• 消毒管理が難しく、乳頭や乳腺の感染リスクがある
• 繰り返しの使用により、皮膚や組織を痛める可能性
• 母親の習熟と継続的な努力が必要
• 赤ちゃんが吸啜するタイミングと合わないことがある

陰圧器具の問題点

• 母乳育児の現場で道具を使う煩雑さ
• 乳頭の硬化や裂傷につながることも
• 寝不足や育児疲れで継続使用が困難

結論として、産後に保存的治療を開始しても、母乳育児に成功する可能性は高くないとされ、精神的なストレスや育児への影響も小さくありません。そこで推奨されているのが手術です。

4.妊娠前の外科的治療のメリット

妊娠前に行う陥没乳頭手術は、授乳への備えとして有効です。特に以下のような点でメリットがあります。

• 妊娠中・授乳中に比べ、
体調が安定しており手術が安全に行える
• 術後のケアがしやすく、合併症も少ない
• 一度の手術で乳頭がしっかり突出すれば、
その後の育児が非常にスムーズに
• 精神的な不安が軽減され、
出産・育児への自信にもつながる

当院では、将来の授乳を視野にいれた陥没乳頭の術式を採用しています。
もちろん、授乳だけではなく見た目のコンプレックスも減り、自信にもつながります。

5.症例紹介:
外科的手術を受けた女性の経過

【症例A】20代女性/
両側重度陥没乳頭

術前:両側とも乳頭が完全に埋もれた状態。授乳不安が強く、母乳育児を希望し受診
術式:乳頭の陥没している方向を加味し、術後に乳頭がきれいな円形を保つよう考えながら乳管を温存しつつ、
支持組織を解除して突出固定
術後:1ヶ月:乳頭が自然な形態でしっかりと突出し、傷も目立ちません


6.専門医による治療で安心|
当院のこだわり

陥没乳頭の手術には繊細な技術が求められます。誤った方法で行うと、乳頭壊死や再陥没のリスクもあるのが陥没乳頭の手術です。安易に受けるのは危険が伴います。

当院では、形成外科専門医がすべての手術を担当し、以下の点にこだわっています。

• 多数の術式から、患者様の状態に合わせた最適な方法を選択
• 乳管温存を可能な限り優先
• 術後の乳頭固定保護器のカスタマイズ
• 丁寧なアフターケアと定期フォロー

その結果、感染ゼロ・皮膚や乳頭の壊死ゼロで安全な手術を提供できています。

7.よくある質問と回答(Q&A)

Q1:手術は保険適用になりますか?

A:重度の陥没で、授乳障害や衛生上の問題があると判断された場合は保険適用の可能性があります。ただし、年齢や性別、症状の程度により適応外となることもあるため、まずは診察をおすすめします。

Q2:手術後どれくらいで
授乳できますか?

A:授乳を開始するには、手術から少なくとも半年は空けることを推奨しています。妊娠中の手術は請け負っておりません。

Q3:他院修正はしていますか?

A:はい、非常に多いご相談です。他院手術後の再発をはじめとして、術後の左右差等もお気軽にご相談ください。

Q4:陥没乳頭は
放置しても大丈夫ですか?

A:軽度で痛みや炎症がない場合は経過観察も可能です。ただし、授乳への支障や見た目にコンプレックスがある方は、治療を検討したほうが良いといえます。また、年齢によっては保険適応での手術が難しくなるため、手術を受けるのは早いほうがよいともいえます。

Q5:男性も手術の対象になりますか?

A:男性も手術対象になります。実際、男性の陥没乳頭手術も多くご相談いただいております。お気軽にご相談ください。

Q6:手術は痛いですか?
どれくらい休みが必要ですか?

A:局所麻酔で日帰り可能です。術後はガーゼ保護がありますが、デスクワーク程度であれば翌日から可能。2週間前後で抜糸します。

8.まとめ

陥没乳頭は決して珍しい疾患ではなく、特に将来授乳を希望する方にとっては「早めの対処」が大きな安心につながります。国際論文でも保存的治療の限界が示されている今、妊娠前に信頼できる専門医のもとで外科的治療を受けることは、将来の母乳育児への最善の準備と言えます。

まずはお気軽にご相談ください。当院では、丁寧なカウンセリングと確かな技術で、あなたの不安に寄り添います。

この記事の監修医師

山田果林(形成外科専門医/東京女子医科大学形成外科所属・都内美容クリニック院長兼任)
中島由佳理(形成外科専門医/慶應義塾大学形成外科所属)

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日付:   カテゴリ:女医のきれいブログ

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