全切開法なら皮膚のたるみも取れる?部分切開では難しい皮膚切除の重要性を解説

全切開法なら皮膚のたるみも取れる?部分切開では難しい皮膚切除の重要性を解説

「まぶたの二重ラインをつくりたいけれど、皮膚のたるみも気になる」――そんな悩みを抱えている方は少なくありません。全切開法は、まぶた全体を切開してラインを形成するため、余った皮膚を同時に取り除けるのが大きな特長です。

一方、部分切開(小切開)は傷が短く済む半面、切除できる皮膚の量に限界があります。たるみの程度によっては、部分切開だけでは十分な改善が得られないケースも珍しくないです。

この記事では、まぶたの治療にたずさわってきた経験をもとに、全切開法と部分切開の違い、皮膚切除がなぜ仕上がりを左右するのかについて、わかりやすく解説していきます。

目次

全切開法の二重術で皮膚のたるみまで取れるのはなぜか

全切開法では、まぶたの端から端まで切開するため、余分な皮膚を直接見ながら正確に切除できます。二重ラインの形成と同時にたるみを改善できる点が、この術式ならではの強みといえるでしょう。

まぶた全体を切開するからこそ広い視野で皮膚を扱える

全切開法では、まぶたの内側から外側にかけて約25〜30mmほどの切開線を設けます。これにより、術者はまぶたの構造を広い視野で確認しながら手術を進められます。

皮膚だけでなく、その下にある眼輪筋(がんりんきん:まぶたを閉じるときに使う筋肉)や眼窩脂肪(がんかしぼう:目の周りのクッションとなる脂肪)の状態も直接観察できるため、一人ひとりの解剖学的な特徴に合わせた処置が行いやすくなります。

皮膚の切除量を術中に微調整できる安心感

手術中、医師は患者さんに目を開閉してもらいながら、切除する皮膚の量を細かく確認します。多すぎても少なすぎても仕上がりに影響が出るため、この微調整が術後の自然さを左右します。

全切開法と部分切開の皮膚切除量の比較

項目全切開法部分切開
切開の長さまぶた全体1〜2cm程度
皮膚切除量十分に対応可能限定的
たるみ改善幅広く対応軽度のみ

脂肪や組織の処理も同時に行えるから仕上がりがすっきりする

皮膚のたるみだけでなく、まぶたが腫れぼったく見える原因のひとつである眼窩脂肪の突出にも、全切開法なら対処しやすくなります。

余分な脂肪を適量除去したり、位置を調整したりすると、すっきりとした印象のまぶたに近づけます。

切開線が二重ラインに隠れるため傷あとが目立ちにくい

全切開法の切開線は、新しく形成される二重のラインと一致するように設計されます。そのため、時間の経過とともに傷あとは二重の折り目に自然となじんでいきます。

術後の腫れが引くまでには数週間を要しますが、半年から1年ほどで傷あとはかなり目立たなくなる方がほとんどです。

部分切開(小切開)では皮膚のたるみ改善に限界がある

部分切開は切開の範囲が短いため、取り除ける皮膚の量が物理的に制限されます。軽度のたるみであれば対応可能な場合もありますが、中等度以上のたるみには向いていません。

切開範囲が短いと除去できる皮膚に制約が生まれる

部分切開では、まぶたの中央付近を1〜2cm程度切開します。この範囲内で皮膚を引き寄せて切除するわけですが、まぶた全体のたるみを均一に取るのは構造上むずかしいのが実情です。

特にまぶたの外側(目尻側)に多いたるみは、中央の切開だけでは十分に処理しきれない場合があります。

たるみが残ると「かぶり」が生じて二重が狭く見える

皮膚の余りが十分に取れないまま二重ラインを形成すると、上からたるんだ皮膚がかぶさってしまい、せっかくつくった二重幅が狭く見えてしまうことがあります。これを「かぶり」と呼びます。

二重の幅を広めに希望している方にとっては、想定よりもラインが目立ちにくくなるため、満足度が下がる原因になりかねません。

部分切開が向いている方と向いていない方

部分切開に適しているのは、皮膚のたるみがほとんどなく、もともとまぶたが薄い若い世代の方です。逆に、年齢とともにまぶたの皮膚がゆるんできた方や、まぶたの厚みが強い方は、全切開法のほうが適している傾向にあります。

どちらの術式が合っているかは、一人ひとりのまぶたの状態によって異なります。必ず医師の診察を受けたうえで判断することが大切です。

部分切開の適応と非適応

判断基準部分切開が向く方全切開法が向く方
皮膚のたるみほぼなし〜軽度中等度〜重度
まぶたの厚さ薄い〜普通厚い
年齢層の傾向10〜20代が多い30代以降に多い

まぶたの皮膚切除が二重の仕上がりを大きく変える

二重術の成否は、ラインの固定方法だけでなく、余分な皮膚をどれだけ的確に処理したかにも大きく左右されます。皮膚切除を適切に行うと、長期にわたって美しい二重ラインを保てるようになります。

余剰皮膚が残ると二重ラインの安定感が失われやすい

まぶたの皮膚が余った状態で二重のラインを固定しても、皮膚の重みでラインが下がったり、左右差が出たりする場合があります。

土台となる皮膚の状態を整えてからラインを固定することで、安定した仕上がりが得られやすくなります。

加齢によるたるみが進むほど皮膚切除の必要量は増える

まぶたの皮膚は、年齢を重ねるとともに弾力(エラスチンやコラーゲンの減少)を失い、重力の影響で徐々に下垂していきます。この現象を「眼瞼皮膚弛緩(がんけんひふしかん)」と呼びます。

年代別にみた皮膚のたるみの傾向

年代たるみの傾向皮膚切除の目安
20代軽度もしくはなし少量〜不要
30〜40代目尻側から進行中等量
50代以降全体的に進行比較的多め

皮膚を切りすぎるリスクにも注意が必要

皮膚の切除は、多ければよいというわけではありません。切りすぎると目が閉じにくくなる「兎眼(とがん)」という状態を招く恐れがあります。

一般的には、まぶたの縁から眉毛の下端までの距離が20mm以上残るように計算して切除量を決定します。

経験豊富な医師であれば、術中に患者さんのまぶたの開閉を確認しながら安全な範囲内で調整を行います。

全切開法による皮膚切除の手術はどのような流れで進むのか

手術の大まかな流れを知っておくと、当日の不安がやわらぎます。全切開法は局所麻酔で行われることが多く、手術時間はおよそ40〜60分程度です。

まぶたのデザインとマーキングがすべての始まり

手術の前に、医師は座った状態の患者さんのまぶたに二重のラインと皮膚の切除範囲を細いペンでマーキングします。左右差が出ないよう、ミリ単位で慎重に計測する工程です。

このデザインの段階で、仕上がりの二重幅や形状がほぼ決まるといっても過言ではありません。

切開・皮膚切除・組織処理の一連の操作

局所麻酔が効いた状態で、マーキングに沿って皮膚を切開します。続いて、あらかじめ設計した分量の皮膚を切除し、必要に応じて眼輪筋の一部をトリミングしたり、眼窩脂肪を調整したりします。

この工程では、止血を丁寧に行いながら進めることが、術後の腫れや内出血を抑えるうえで大切になります。

二重ラインの固定と縫合で手術が完了する

組織の処理が終わったら、挙筋腱膜(きょきんけんまく:まぶたを開く筋肉の一部)と皮膚の下層を細い糸で縫い合わせ、二重のラインを固定します。最後に皮膚を丁寧に縫合し、手術は完了です。

抜糸は通常、術後5〜7日で行います。糸を長く残しすぎると縫合痕が目立つ場合があるため、適切なタイミングでの抜糸が望ましいとされています。

手術の段階内容所要時間の目安
デザインマーキング・計測約10分
切開・切除皮膚と組織の処理約20〜30分
縫合ライン固定・閉創約10〜15分

全切開法のダウンタイムと術後に気をつけたいこと

全切開法は部分切開よりも切開範囲が広い分、ダウンタイム(回復期間)もやや長くなります。ただし、正しいケアを続ければ、腫れや内出血は徐々に落ち着いていきます。

術後の腫れのピークは2〜3日目にやってくる

手術直後からまぶたは腫れ始めますが、もっとも腫れが強くなるのは術後2〜3日目です。この時期はアイスパックで冷やしながら安静にすると、腫れの悪化を抑えられます。

就寝時に枕を高くして頭を心臓より上に保つ工夫も、むくみの軽減に有効です。

大まかな腫れは1〜2週間で引くが完成形は数か月先

1〜2週間ほどで人前に出られる程度には回復しますが、まぶたの深い部分に残る微細なむくみが完全に消えるまでには3〜6か月ほどかかるときがあります。完成形を急がず、焦らず待つことが満足度の高い結果につながります。

  • 術後1週間:抜糸のタイミング、大きな腫れが徐々に軽減
  • 術後2〜4週間:アイメイクが可能になる時期の目安
  • 術後3〜6か月:二重ラインがなじみ、完成形に近づく

術後の過ごし方で回復の質が変わる

術後しばらくは、飲酒・激しい運動・長時間の入浴を控えてください。血行が促進されすぎると、腫れや内出血が長引く原因になります。

また、目をこすったり、強く押さえたりする行為はラインのずれにつながりかねないため、しばらくは丁寧に扱うように心がけましょう。

全切開法を受ける前に知っておきたい注意点とリスク

どんな手術にもリスクは伴います。全切開法で起こりうる合併症や注意点をあらかじめ理解しておくことで、術後のトラブルを防ぎやすくなります。

左右差が出る可能性はゼロではない

人間の顔はもともと左右完全に対称ではありません。術前のデザインで可能な限り左右差を小さくしますが、術後の腫れの引き方や傷の治り方にも個人差があるため、多少の左右差が生じるケースはあります。

気になる左右差が残った場合は、経過を十分に観察したうえで修正手術を検討することも選択肢のひとつです。

目の乾きや違和感が一時的に出ることがある

皮膚を切除すると、術前よりもまぶたの開きがわずかに大きくなります。その結果、角膜(くろめ)の露出面積が増え、一時的にドライアイの症状を感じる方もいます。

ほとんどは数週間で改善しますが、もともとドライアイの傾向がある方は術前に医師へ伝えておくと安心です。

傷あとの赤みや硬さが長引く方もいる

まぶたの皮膚は体のなかでも薄い部位のため、傷あとが肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)になるリスクは比較的低いとされています。ただし、体質によっては赤みや硬さがしばらく続くことがあります。

シリコンジェルシートの使用や紫外線対策を行うと、傷あとの経過が良好になりやすいという報告もあります。

リスクの種類頻度対応策
左右差比較的起こりうる経過観察・修正手術
一時的なドライアイ時々みられる点眼薬での対処
傷あとの赤み体質により差あり遮光・外用薬
血腫(内出血)まれ止血管理・冷却

全切開法で二重術を受けるクリニック選びで後悔しないコツ

全切開法は、医師の技量と経験がダイレクトに仕上がりに反映される手術です。信頼できるクリニックと医師を選ぶことが、満足のいく結果への近道になります。

まぶたの手術経験が豊富な医師を探す

眼瞼(がんけん)の手術は、顔の中でも特にデリケートな領域です。まぶたの解剖に精通し、多くの症例を手がけてきた医師であれば、皮膚の切除量の見極めやライン形成のバランスに長けています。

クリニック選びで確認したい項目

  • まぶたの手術を専門的に行っているか
  • 術前のカウンセリングが丁寧で納得いくまで相談できるか
  • 術後のフォロー体制が整っているか

カウンセリングで希望と医学的な見解を擦り合わせる

カウンセリングでは、自分の希望する二重幅やイメージを具体的に伝えることが大切です。同時に、医師がまぶたの状態を診察したうえで提案する術式やデザインにも耳を傾けましょう。

患者さんの希望と医学的に無理のない範囲をすり合わせる作業が、術後の満足につながります。「どこまでが自分のまぶたで実現可能か」を率直に聞ける関係が理想的です。

費用だけで判断せず総合的に検討する

手術費用はクリニックによって差がありますが、価格の安さだけで選ぶのは避けたほうが無難です。使用する医療機器や縫合糸の品質、術後の保証内容、再手術への対応など、トータルで比較検討してみてください。

一度手術をしたまぶたは元の状態に完全には戻せません。だからこそ、初回の手術を信頼できる環境で受けることが何より大切です。

よくある質問

全切開法の二重術では皮膚をどのくらい切除できますか?

全切開法で切除できる皮膚の量は、一人ひとりのまぶたの状態によって異なります。一般的には、術前にピンチテスト(皮膚をつまんで余り具合を確かめる検査)を行い、目が閉じられなくなるリスクがない範囲で切除量を決定します。

目安としては、まぶたの縁から眉毛の下端まで20mm以上の距離を残すよう設計するのが基本です。たるみが軽度の方は数ミリ程度、中等度以上の方はそれ以上切除する場合もあります。

全切開法と埋没法では、まぶたのたるみへの対応力にどんな差がありますか?

埋没法は糸で皮膚と組織を留めるだけの施術であるため、皮膚そのものを除去することはできません。つまり、まぶたのたるみ改善には対応しにくい方法です。

全切開法であれば、余った皮膚を直接切り取りながら二重ラインを形成できるため、たるみが気になる方にはより適しています。ただし、たるみがほとんどない方には埋没法でも十分な結果を得られるケースが多いです。

部分切開で二重をつくったあとに皮膚のたるみが残った場合、全切開法でやり直せますか?

部分切開の術後にたるみが気になる場合、全切開法による修正手術を受けることは可能です。ただし、以前の手術で生じた瘢痕組織(はんこんそしき:傷あとの硬い組織)が存在するため、初回の手術よりも難易度は上がります。

修正手術のタイミングは、前回の手術から少なくとも6か月以上経過し、組織の状態が安定してからが望ましいとされています。まずは担当医に相談のうえ、適切な時期を見極めてください。

全切開法の二重術で切除した皮膚は将来また伸びてきますか?

手術で取り除いた皮膚が再び生えてくることはありません。ただし、加齢による皮膚の弾力低下や重力の影響は、術後も引き続きまぶたに作用します。

そのため、手術後も年月が経てば多少のたるみは新たに生じる場合があります。とはいえ、皮膚を切除した分だけ「貯金」ができた状態ですので、手術を受けなかった場合と比べれば、若々しい状態を長く保てるといえます。

全切開法の二重術は何歳くらいから皮膚切除を伴う手術が増えますか?

個人差はありますが、30代後半から40代にかけて皮膚切除を伴う全切開法を選択する方が増える傾向にあります。この年代になると、まぶたの弾力が低下し始め、余剰な皮膚がまつげや視野にかぶさってくることがあるためです。

一方、20代であっても遺伝的にまぶたの皮膚が厚い方や、もともとたるみがある方は皮膚切除が有効なケースもあります。年齢だけで術式を判断するのではなく、実際のまぶたの状態に基づいて決めるのが望ましいでしょう。

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この記事を書いた人

Dr.王子 富登のアバター Dr.王子 富登 日本形成外科学会専門医

オジスキンクリニック医師 / 日本医師会認定産業医 / 医学博士

2010年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院形成外科、東邦大学医療センター佐倉病院形成外科(医局長)などを経て現職。 形成外科専門医として大学病院で研鑽を積み、2016年度には眼瞼下垂手術の執筆症例数が千葉県最多を記録。まぶた眼瞼外来の開設や、大手美容クリニックでの勤務経験も併せ持つ。

「目の前の患者さんを自分の家族だと思ってメスを持つ」を信条に、二重整形、眼瞼下垂、まぶたのたるみ治療、他院修正など、「まぶた治療」のスペシャリストとして機能と美しさを両立させる緻密な手術に定評がある。

【所属学会】
日本形成外科学会
日本美容外科学会(JSAPS)
日本頭蓋顎顔面外科学会

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