埋没法の手術中に痛みを感じたら?麻酔の追加や医師への伝え方のルール

埋没法の手術を控えている方にとって、最も大きな不安要素の一つは「手術中の痛み」ではないでしょうか。もし施術中に麻酔が切れたり、鋭い痛みを感じたりした場合、どう対処すればよいのかを知っておくことは非常に大切です。
手術中に痛みを感じた際は、決して我慢せずに適切なタイミングと方法で医師に伝える必要があります。
この記事では、痛みの原因から、医師へのスムーズな合図の出し方、麻酔を追加してもらうための具体的な基準までを詳しく解説します。
手術中の痛みの原因と麻酔が効きにくい体質や状況
埋没法では多くの人が「針が刺さる痛み」だけを想像しがちですが、実際には心理的な緊張や体質、当日の体調など、複合的な要因が絡み合って痛みを感じる場合があります。
痛みの正体を知れば恐怖心は薄らぐ
手術中の痛みには、いくつかの種類が存在します。
まず挙げられるのは、局所麻酔を注入する際のチクッとした痛みと、薬液が組織に入り込む際の圧迫感です。これは手術の最初に発生する一瞬の痛みであり、多くの場合は数秒から数十秒で収まります。
しかし、手術中に感じる痛みはこれとは異なり、まぶたの奥が引っ張られるような感覚や、重く押されるような鈍痛として現れるケースが多いです。
この感覚は、麻酔が効いていても触れられている感覚(触覚)は残るために生じるもので、必ずしも「痛み」ではありません。
この「触れられている感覚」を「痛み」と脳で誤変換してしまい、パニックに陥る場合があります。まずは、触れられている感覚と鋭い痛みを区別することが大切です。
麻酔が効きにくい人の特徴と事前の対策
体質や生活習慣によって、局所麻酔の効きやすさには個人差が生じます。
アルコールの分解酵素が多い方や、日常的にまぶたを酷使している方は、どうしても麻酔の効果時間が短くなったり、効きが悪くなったりする傾向があります。
ご自身に当てはまる項目がないか確認し、もし該当する場合は事前の対策が重要です。手術当日に万全の状態で臨むためにも、自分の体の特性を把握しておきましょう。
| 特徴・要因 | なぜ麻酔が効きにくいのか | 推奨される事前の対策 |
|---|---|---|
| 日常的にアルコールを多量に摂取する | 肝臓の代謝機能が活発になりすぎており、麻酔薬の分解速度が通常よりも速くなるため、効果が持続しにくくなります。 | 手術の少なくとも3日前、できれば1週間前から禁酒を行うと、麻酔の効きを正常に近づけられます。 |
| まぶたに炎症や腫れがある | 炎症部位は組織が酸性に傾いているため、塩基性の麻酔薬が浸透しにくくなり、効果が著しく低下します。 | アイプチやアイテープの使用を控え、まぶたの皮膚を休ませて炎症を治してから手術に臨む必要があります。 |
| 極度の緊張状態にある | 交感神経が優位になり、アドレナリンが分泌されるため痛覚過敏の状態になり、麻酔の効果を感じにくくなります。 | 深呼吸を意識するほか、笑気麻酔などのリラックス麻酔の併用を医師に相談しましょう。 |
緊張や力みが生み出す痛みの悪循環
精神的な緊張は、物理的な痛み以上に厄介な問題を引き起こします。人間は恐怖や不安を感じると無意識に体に力が入り、筋肉が硬直します。
まぶたの手術において、目の周りの眼輪筋に力が入ってしまうと、内出血のリスクが高まるだけでなく、麻酔液が組織内にスムーズに浸透しにくくなるときがあります。
さらに、力むことで血圧が上昇し、出血量が増えると、腫れが強くなる原因になります。
「痛かったらどうしよう」と考えれば考えるほど、神経は過敏になり、通常なら気にならない程度の刺激も強い痛みとして感じ取ってしまいます。手術中は、あえて「痛み」以外に意識を向ける工夫が必要です。
手術中に痛みを感じたときの医師への正しい伝え方
実際に手術が始まってから鋭い痛みを感じた場合、どのように医師に伝えればよいのでしょうか。手術中は顔の上に布(ドレープ)がかかっており、声を出して伝えることがためらわれる場面も多いです。
また、急に動くと危険なため、適切な合図の方法を知っておく必要があります。
我慢せずにすぐに合図を送るべきタイミング
痛みを感じたとき、「もう少し我慢すれば終わるかもしれない」「先生の手を止めるのが申し訳ない」と考えてしまい、限界まで耐えてしまう方がいます。しかし、これは非常に危険です。
痛みを我慢して力が入ると、先述したように腫れや内出血の原因となりますし、痛みが限界に達して急に動いてしまうと、針で眼球を傷つけるリスクすらあります。
そのため、少しでも「おかしいな」と感じたら、その瞬間に合図を送りましょう。
特に、触れられている感覚ではなく、鋭利な刃物で刺されているような痛みや、焼けるような熱い痛みを感じた場合は、麻酔が不足している可能性があります。
感覚は本人にしか分かりませんので、違和感があればすぐに発信してください。
声を出さずに医師に不調を伝えるハンドサイン
手術中に痛みを感じた際、急に「痛いです!」と大声を出すのは避けるべきです。声を出すと顔の筋肉が動き、まぶたも動いてしまうため、繊細な操作をしている医師の手元が狂う恐れがあります。
安全に意思表示をするためには、事前に決められたハンドサインや、体の動きが少ない方法を用いるのが鉄則です。
多くのクリニックでは、手術前に「痛いときは手を挙げてください」といった指示があります。
しかし、手を高く挙げすぎると清潔区域を汚染してしまう可能性があるため、胸の上あたりで軽く手を握る、あるいは人差し指を立てるなど、小さく明確な動きで伝えるのが良いでしょう。
痛みの種類や強さを具体的に表現する言葉選び
合図を送って医師が手を止めた後、どのような痛みなのかを言葉で伝える段階になります。このとき、単に「痛いです」と伝えるだけでは、医師は麻酔を追加すべきか、それとも操作上の圧迫感なのかを判断しにくい場合があります。
痛みの性質を具体的に伝えると、医師は的確な処置を行えます。医師に伝わりやすい痛みの表現方法を知っておくと、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
- 「チクチクとした鋭い痛みがあります」
- 「麻酔が切れてきたような感覚があります」
- 「皮膚が引っ張られるような強い違和感があります」
- 「奥の方がズーンと重く痛みます」
- 「電気が走るようなビリッとした感覚がありました」
局所麻酔を追加するタイミングとその効果的な使い方
「麻酔を追加してください」と言うことに遠慮を感じる必要はありません。痛みの感じ方には個人差があり、標準的な量では足りないことも往々にしてあるからです。
しかし、むやみに麻酔を追加すればよいというわけでもありません。麻酔液の量が増えることによるデメリットも存在します。
麻酔を追加できる具体的な状況と判断基準
麻酔の追加が最も有効なのは、手術の序盤から中盤にかけて、明らかに鋭い痛み(鋭痛)を感じる場合です。埋没法の手術時間は通常15分から30分程度ですが、局所麻酔の効果は1時間以上続くのが一般的です。
それでも痛みを感じるのは、麻酔の広がりが不十分な場所があったり、神経の走行に個人差があったりするためです。このような場合は、ピンポイントで少量の麻酔を追加すると劇的に痛みが改善します。
一方で、手術の終盤、特に糸を結んでいる最中などに感じる違和感や軽度の痛みに対しては、麻酔を追加しない判断をするときもあります。
これは、あと数分で手術が終わる段階で麻酔を追加すると、無駄に腫れを強くしてしまう恐れがあるからです。
追加麻酔による腫れのリスクとメリットの比較
麻酔を追加することには、痛みが消えるという大きなメリットがある反面、どうしても避けられないデメリットも存在します。メリットとリスクの両面を理解し、追加を依頼する際の判断材料にしてください。
例えば、痛みがなくなると恐怖心が消え、体の力が抜けるため、結果的にスムーズな手術進行が可能になります。
しかし一方で、注入する液体量が増えるため、術直後のまぶたの腫れが通常よりも強く出る場合があり、ダウンタイムが長引く可能性があります。
| 項目 | メリット(正の側面) | デメリット(負の側面・リスク) |
|---|---|---|
| 精神的な安心感 | 痛みがなくなると恐怖心が消え、体の力が抜けるため、結果的にスムーズな手術進行が可能になります。 | 麻酔が効くまでの待ち時間が発生し、手術全体の所要時間がわずかに延びる可能性があります。 |
| 術後の仕上がり | 痛みに顔をしかめたり動いたりすることがなくなるため、医師が正確なデザイン通りに施術しやすくなります。 | 注入する液体量が増えるため、術直後のまぶたの腫れが通常よりも強く出る場合があり、ダウンタイムが長引く可能性があります。 |
| 身体への負担 | 痛みによる血圧上昇や頻脈を防ぎ、身体的なストレスを大幅に軽減できます。 | 極めて稀ですが、麻酔薬の総量が増えると、気分が悪くなるなどの全身的な反応が出るリスクがわずかに上がります。 |
笑気麻酔や静脈麻酔との併用を検討するケース
局所麻酔の追加だけでは不安が解消されない、あるいは先端恐怖症などで針が近づくこと自体が耐えられないという方には、笑気麻酔や静脈麻酔の併用が有効です。
笑気麻酔は鼻からガスを吸うとお酒に酔ったようなふわふわした感覚になります。痛み自体を完全に消すわけではありませんが、局所麻酔の注射の痛みを鈍らせる効果は大きいです。
静脈麻酔は点滴から眠くなる薬を入れる方法で、意識がほとんどない状態で手術を受けられます。これなら手術中の痛みや恐怖を記憶に残さずに終えることが可能です。
ただし、完全に眠ってしまうと、埋没法で重要な「目を開けての確認」ができなくなるため、医師によっては推奨しない場合もあります。
手術中の恐怖心を抑えてリラックスするための工夫
痛みは「感覚」ですが、恐怖心は「感情」です。恐怖心が強いと、実際の痛みが小さくても脳がそれを増幅して受け取ってしまいます。
逆に言えば、リラックスして心が落ち着いていれば、多少の刺激は気にならなくなるものです。手術台の上でできるリラックス法や、環境づくりの工夫を知っておくと、手術をより快適なものにできます。
好きな音楽や深呼吸で意識をそらす方法
手術室は静かで無機質な空間であることが多く、その静寂が緊張を高める場合があります。
多くのクリニックではBGMが流れていますが、もし可能であれば、自分の好きな音楽をかけてもらえるか聞いてみるのも一つの手です。
聴覚からの情報は意外と強く、馴染みのある音楽を聴くと心拍数が安定する効果が期待できます。
また、最も即効性のあるリラックス法は「呼吸」です。緊張すると呼吸は浅く速くなりがちですが、意識的に「長く吐く」呼吸を行うと、副交感神経を優位にできます。
鼻からゆっくりと息を吸い、口から細く長く息を吐き出す動作を繰り返してください。
手術前の過ごし方で心の準備を整える
手術当日の朝の過ごし方も、精神状態に大きく影響します。カフェインの強い飲み物は交感神経を刺激して緊張を高める可能性があるため、当日は控えたほうが無難です。
代わりに、ハーブティーや白湯など、体を温めてリラックスできる飲み物を選びましょう。
また、時間に余裕を持ってクリニックに到着するのも重要です。ギリギリに到着して慌ただしく準備をすると、心が落ち着かないまま手術台に上がることになります。
待合室で待っている間は、SNSでネガティブな手術体験談や失敗例を検索するのは絶対にやめましょう。
不安を煽る情報を見るのではなく、手術が終わって綺麗になった自分の姿を想像すると、ポジティブなマインドセットを作れます。
信頼できる医師や看護師のサポートを頼る
手術室には医師だけでなく、看護師も同席しています。看護師は患者様の不安を和らげるプロフェッショナルです。
手術中に不安が押し寄せてきたら、看護師に声をかけてもいいか、あるいは手を握っていてもらえるかをお願いしてみるのも良い方法です。
また、事前に準備をしておくと、当日の安心感につながります。
- リラックスできる服装(締め付けのない服)を選んで着用する
- 好きな音楽のプレイリストを用意し、医師に流せるか確認する
- コンタクトレンズケースや眼鏡など、術後に必要なものを忘れずに持参する
- 手術直後に目を冷やすための清潔なハンカチやタオルを用意する
- 信頼できる家族や友人に付き添いや送迎をお願いする
まぶたの感覚が敏感になる生理的な要因と対策
同じ人が同じ手術を受けても、日によって痛みの感じ方が全く違う場合があります。これは、ホルモンバランスや体調の変化によって、痛覚の閾値(痛みを感じるハードル)が変動するためです。
女性の場合、特に生理周期が大きく関わっています。手術の予約日を決める際には、自分の体のリズムを考慮に入れると、痛みを回避できる確率が高まります。
生理周期やホルモンバランスが痛みに与える影響
女性の体は、月経周期に合わせて女性ホルモン(エストロゲンとプロゲステロン)の分泌量が変化します。
一般的に、生理前(黄体期)から生理中にかけては、プロゲステロンの影響で体に水分を溜め込みやすくなり、むくみが生じやすくなります。
組織がむくんでいると麻酔が効きにくくなるだけでなく、精神的にもイライラしたり不安になったりと不安定になりがちで、痛みに対して敏感になる傾向があります。
逆に、生理が終わった後の「卵胞期」はエストロゲンの分泌が増え、心身ともに安定する時期です。代謝も良く、むくみも取れているため、手術を受けるには適した時期と言えます。
前日のアルコール摂取や睡眠不足のリスク
手術前日の過ごし方は、当日の麻酔の効きや痛みの感じ方に直結します。万全のコンディションで手術に臨むためには、日常生活で何気なく行っている習慣を見直す必要があります。
避けるべき行動とその理由、そして推奨される過ごし方を理解し、手術への準備を整えましょう。
| 要因・行動 | 手術当日に及ぼす悪影響 | 理想的な対応策 |
|---|---|---|
| 前日の飲酒 | 血管が拡張して出血しやすくなり、麻酔の分解が早まることで効果時間が短縮されます。術後の腫れもひどくなります。 | 手術前日は完全な休肝日にし、水分(水やお茶)を多めに摂って体内の循環を良くしておきましょう。 |
| 睡眠不足 | 自律神経が乱れ、痛みに対する耐性が低下します。また、免疫力が下がり、術後の回復(ダウンタイム)にも悪影響を与えます。 | ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるなどして副交感神経を高め、最低でも7時間の睡眠時間を確保しましょう。 |
| 塩分の過剰摂取 | まぶたがむくんだ状態で手術を受けることになり、正確なライン設定が難しくなるほか、術後の腫れが引きにくくなります。 | 前日の夕食は薄味の和食などを選び、ラーメンやスナック菓子などの塩分が高い食事は控えてください。 |
目元の炎症やコンディション不良への対応策
日常的にアイプチやアイテープを使用している方は、まぶたの皮膚が荒れて硬くなっている場合があります。
皮膚が硬化していたり炎症を起こしていたりすると、麻酔の針が刺さりにくく、また薬液が浸透する際に強い痛みを感じるときがあります。
さらに、炎症がある部位は出血もしやすいため、結果的にダウンタイムが長引く原因となります。
手術を決意したら、できるだけ早い段階でアイプチの使用を中止し、まぶたのコンディションを整える期間を設けると良いです。
皮膚科で処方される軟膏や、保湿クリームでケアを行い、健康な皮膚状態で手術当日を迎える工夫が、痛みを減らすための隠れた重要ポイントです。
術後の痛みを最小限に抑えるための手術中の過ごし方
手術中に患者様自身がどのように過ごすかは、実は術後の経過(腫れや痛み)に大きな影響を与えます。「ただ寝ていればいい」と思われがちですが、そうではありません。
医師の指示に合わせて適切に目線を動かしたり、力を抜いたりする協力動作が、スムーズで低侵襲な手術を実現する鍵となります。
手術中に目元に力を入れないコツと練習法
手術中、恐怖からどうしても目をギュッと閉じてしまう方がいます。しかし、目を強く閉じると眼輪筋が収縮し、まぶたの皮膚が硬くなるため、針を通す際に余計な力が必要になります。
力を入れると血流が増加し、内出血のリスクが跳ね上がります。手術中は「薄目を開けるような感覚」あるいは「遠くを見るような脱力した状態」を保つのが理想的です。
力を抜くコツは、口をぽかんと少し開けることです。人間の体の構造上、口を半開きにしながら目に力を入れるのは難しいため、自然と目元の力が抜けます。また、手足の力を抜くのも効果的です。
指示通りに目線を動かすとスムーズな進行を助ける
埋没法の手術中、医師から「下を見てください(足元を見てください)」や「目を開けてください」といった指示が出る場合があります。
この指示にスムーズに従うと、手術時間を短縮し、結果として体への負担を減らせます。
特に麻酔の注射をする際や、まぶたの裏側に糸を通す際は、下を向く(あごは引かずに目線だけを下げる)動作が求められます。ここで重要なのは、手術中のNG行動とOK行動を理解しておくことです。
手術終了直後のアイシングと安静の重要ポイント
手術が終わった直後から、痛みとの戦いの第二ラウンドが始まります。麻酔が切れてくると、ジンジンとした痛みや熱感が生じるときがあります。
これを最小限に抑えるためには、直後のアイシング(冷却)が非常に効果的です。
多くのクリニックでは術後に冷却時間を設けていますが、帰宅後も保冷剤をタオルで巻き、断続的に目元を冷やすと、炎症の拡大を防いで痛みを鎮められます。
また、当日は長時間のスマホ操作や読書は避け、目を使わずに休めることが大切です。目を使うと血流が良くなりすぎて、ズキズキとした痛みが増強する恐れがあるからです。
| 場面・状況 | やってはいけないNG行動(痛みの原因) | 推奨されるOK行動(痛みの軽減) |
|---|---|---|
| 麻酔の注射時 | 恐怖で目を強くギュッと閉じる。顔を背けたり、あごを引いて逃げようとする。 | あごの位置は動かさず、目線だけを足元に向ける(下を見る)。口を少し開けて脱力する。 |
| まぶたを裏返す時 | 反射的に抵抗してまぶたを閉じようとする。眼球をキョロキョロと動かす。 | 医師にまぶたを委ね、抵抗せずに力を抜く。一点(足元の方向)を見つめて視線を固定する。 |
| 糸を結ぶ時 | 眉毛を上げて目を開こうとする(おでこの力で目を開ける)。 | おでこの力は使わず、リラックスした状態で静かに待つ。指示があればゆっくりと瞬きをする。 |
痛みに極端に弱い人が事前に相談すべきこと
「自分は人一倍痛みに弱い」「注射を見るだけで倒れそうになる」という自覚がある方は、通常の手順だけでは対応しきれない場合があります。しかし、それを恥ずかしいと思う必要はありません。
事前にその旨をしっかりと伝え、特別な対応を準備してもらうと、苦痛なく手術を受けることは十分に可能です。
カウンセリング時に痛みの不安を正直に話すメリット
カウンセリングは、単に二重のデザインを決めるだけの場ではありません。手術に対する不安や要望をすり合わせる重要な機会です。
ここで「痛みに非常に弱い」と伝えておくと、医師は麻酔の量を調整してくれます。
また、より痛みの少ない注入テクニック(ゆっくり注入するなど)を使ったりと、配慮した手術計画を立ててくれます。
逆に、何も伝えないまま手術当日を迎えてパニックになると、結果的に満足のいく仕上がりにならないリスクもあります。
| オプション名 | 特徴・効果 | おすすめな人 |
|---|---|---|
| 極細針(34Gなど)への変更 | 標準的な針よりもさらに細い針を使用することで、刺入時のチクッとした痛みを極限まで減らします。内出血のリスクも低減します。 | 注射の「刺さる感覚」がとにかく苦手な人。内出血を最小限に抑えたい人。 |
| 笑気麻酔の追加 | 鼻から吸うリラックス麻酔。お酒に酔ったような感覚になり、痛みや恐怖に対する不安感が薄れます。意識はあります。 | 緊張しやすく、リラックスして手術を受けたい人。注射の痛みをぼんやりさせたい人。 |
| 点眼麻酔の強化 | 注射の前に目薬タイプの麻酔を十分に行い、結膜(まぶたの裏)の感覚を麻痺させてから注射を行います。 | 注射の前の段階から痛みを排除したい人。基本的な麻酔の効きを良くしたい人。 |
特別な麻酔オプションや極細針の選択肢
上記の表にあるように、針の太さを変えるだけでも痛みの感じ方は大きく変わります。
標準的な針でも十分細いですが、オプションで選べる極細針は髪の毛ほどの細さで、刺されたことに気づかない方もいるほどです。
また、麻酔液自体を体液に近いpH(酸性度・アルカリ度)に調整したり、温めてから注入したりして、注入時の刺激痛を和らげる工夫をしているクリニックもあります。
痛みの少ない術式やクリニック選びのポイント
埋没法と一口に言っても、まぶたの裏側から糸を通す方法(瞼板法)や、筋肉に糸を通す方法(挙筋法)、さらには皮膚側に結び目を作らない裏留めなど、様々な術式があります。
一般的に、まぶたの表面に傷がつかない術式や、手術時間が短い術式の方が、術後の痛みは少ない傾向にあります。
しかし、どの術式が「手術中の痛み」が少ないかは、医師の技術力に大きく依存します。
痛くない手術をしてくれる医師の特徴として、「麻酔の打ち方が丁寧で時間をかける」「声かけを頻繁に行ってくれる」などが挙げられます。実際にカウンセリングに足を運び、医師と話したときの安心感を重視して選ぶことが大切です。
よくある質問
- 埋没法の手術中に麻酔が切れることはありますか?
-
基本的には手術時間に対して十分に効果が持続する量の麻酔を使用するため、途中で完全に切れるケースは稀です。
ただし、手術が長時間に及んだ場合や、炎症などで麻酔が効きにくい体質の方は効果が薄れるときがあります。
痛みを感じたら遠慮なく医師に伝えて追加してもらいましょう。
- 埋没法の局所麻酔の注射はどのくらい痛いですか?
-
予防接種や採血のチクッとする痛みと似ていますが、まぶたは皮膚が薄いため少し敏感に感じる場合があります。多くは数秒で終わる我慢できる程度の痛みです。
痛みが不安な方は、笑気麻酔の併用や極細針への変更を検討するのがおすすめです。
- 埋没法の手術中に目を開けてしまうとどうなりますか?
-
手術中に急に目を開けると、針やまぶたを保護する器具で眼球(角膜)を傷つけてしまうリスクがあり大変危険です。
医師から「目を開けて確認します」と指示があった場合以外は、軽く目を閉じた状態を保つようにしてください。
- 埋没法の手術中にどうしても痛みが我慢できないときは中断できますか?
-
痛みが激しい場合は一時的に手を止めて休憩したり、麻酔を追加したりして対処しますので安心してください。
完全に手術を中止することは稀ですが、パニック状態で続行不可能と判断された場合は、安全のために中断し、日を改めて行うケースもあります。
- 埋没法の手術後に痛み止めが効かない場合の対処法は?
-
処方された痛み止めを飲んでも痛みが引かない場合は、患部を保冷剤で冷やす(アイシング)ことが最も効果的です。
それでも激痛が続く、あるいは目に異物感や視力低下がある場合は、糸が角膜に当たっているなどのトラブルの可能性があるため、速やかに施術したクリニックに連絡してください。
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