裏留めの埋没法で糸が露出するリスク|目がゴロゴロする不快感への対処法

裏留めの埋没法で糸が露出するリスク|目がゴロゴロする不快感への対処法

裏留め(経結膜的埋没法)は、皮膚表面に傷がつかないという大きな利点がある一方で、まぶたの裏側に糸が露出して角膜を傷つけるリスクを含んでいます。

「目がゴロゴロする」「チクチク痛む」といった違和感は、糸が眼球に触れている危険なサインかもしれません。放置すると角膜障害など深刻な眼トラブルに発展する可能性があります。

この記事では、なぜ糸が出てきてしまうのかという原因から、自分で行えるチェック方法、そして違和感を感じた時の正しい応急処置やクリニックでの修正対応までを詳しく解説します。

目次

裏留め埋没法で糸が露出してしまう原因とは

裏留め埋没法を受けた後に糸が露出してしまう主な原因は、まぶたの裏側というデリケートな場所に糸を結ぶ構造上の特徴と、手術時の技術的な要因、そして経年による変化が複雑に関係しています。

どのようなメカニズムでトラブルが発生するのかを正しく把握することは、現在の症状が危険なものなのかを判断するために必要です。リスクの正体を確認して不安を解消し、次の行動へつなげましょう。

まぶたの裏側に糸が出る仕組みを知っておく

裏留め法、すなわち経結膜的埋没法は、その名の通りまぶたの裏側(結膜側)で糸を結び、二重のラインを形成する特殊な術式です。

通常の埋没法が皮膚の下で結び目を作るのに対し、裏留め法では眼球に直接触れる可能性のある粘膜側に結び目が存在します。

通常の手術では、この結び目は結膜の中に深く埋め込まれ、眼球表面には触れないように丁寧に処理されます。医師は結膜を少し切開したり、ポケットを作ったりして、結び目を組織の中に隠すように工夫します。

しかし、まぶたは一日に何千回も瞬きを繰り返す、体の中でも非常に動きの多い部位です。この絶え間ない開閉運動によって、本来深く埋没しているはずの糸が、時間の経過とともに徐々に表面へと押し出されてくる場合があります。

特に、まぶたの裏側は粘膜でできており、皮膚に比べて非常に柔らかく脆い組織です。そのため、糸にかかる張力が強すぎたり、組織への食い込みが浅かったりすると、糸が薄い粘膜を突き破って露出してしまうリスクが高まるのです。

医師の技術や糸の結び方が結果を左右する現実

医師の技術レベルや経験値は、糸の露出リスクに直結する極めて大きな要因です。裏留め法は高度な技術を要する術式であり、適切な深さに、適切な強さで糸を結ぶという、非常に繊細な操作が求められます。

もし医師が結び目を埋め込む深さを誤り、浅い位置で固定してしまうとどうなるでしょうか。術後早い段階で糸が粘膜の表面近くまで移動し、露出する原因となってしまいます。

また、糸を縛る力加減も重要です。力が弱すぎると結び目がほどけやすくなり、逆に強すぎると組織が圧迫されて壊死し、そこから糸が飛び出しやすくなります。まさに「職人技」とも言える絶妙な力加減が必要なのです。

さらに、使用する糸の質や太さの選定も結果を左右します。経験豊富な医師であれば、患者さん一人ひとりのまぶたの厚みや硬さに合わせて適切な糸と結び方を選択しますが、経験の浅い医師の場合、これらを見誤るとトラブルを招くケースがあります。

裏留め法における糸露出の主な原因と発生要因

原因の分類具体的な発生メカニズム患者側の要因
構造的要因結び目が粘膜側にあり、常に眼球に近い位置にあるまぶたが薄い、眼球が前に出ている
技術的要因結び目の埋め込み不足、組織への過度な張力手術中の過度な緊張、まぶたへの力の入りすぎ
経年的要因まぶたの組織の緩みによる糸の移動目をこする癖、コンタクトレンズの長期使用

時間が経つにつれて糸や組織に起きる変化とは

手術直後は全く問題がなくても、数年が経過してから糸が露出するケースも少なくありません。体内に埋め込まれた医療用の糸は、長期間にわたって生体組織の中で存在し続けることになります。

現代の医療用糸は耐久性が高く作られていますが、何年もまぶたの中で摩擦や圧力にさらされ続けると、わずかながら劣化したり、変形したりする場合があります。

また、糸の結び目が徐々に緩んでくることも考えられます。結び目が緩むと、糸の端がピンと立ち上がるような形になり、それが柔らかい結膜を内側から刺激して、最終的に突き破ってしまうのです。

特に注意が必要なのは、日常生活での物理的な刺激です。花粉症などで目をこする癖がある人や、毎日のコンタクトレンズの着脱でまぶたを頻繁に引っ張る人は、その刺激によって糸の位置がずれやすくなります。

放置は危険!目がゴロゴロする違和感が招く最悪の事態

目にゴミが入ったようなゴロゴロ感やチクチクする痛みを感じた際、それを「一時的なもの」と軽視して放置するのは非常に危険です。

まぶたの裏側から露出した糸は、瞬きをするたびに鋭利な凶器となって眼球を傷つけ続けます。

角膜の傷が視力や目の機能に与える深刻なダメージ

露出した糸が最も深刻なダメージを与えるのは、黒目の部分にあたる「角膜」です。角膜は光を取り入れるカメラのレンズのような役割を果たしており、非常に敏感で繊細な組織です。

糸の結び目が硬い突起となって角膜の表面を擦り続けると、「角膜上皮剥離」と呼ばれる傷がつきます。最初は「なんとなく目が痛い」程度の異物感でも、傷が深くなると激しい痛みや涙が止まらないといった症状が現れます。

さらに症状が進行して、傷が角膜の実質層まで達してしまうと事態は深刻です。治癒した後も角膜に白い濁りが残ってしまい、視力が低下したり、光が乱反射してまぶしく感じたりする後遺症が残る恐れがあるからです。

角膜の透明性は一度失われると、完全に取り戻すのが非常に困難です。そのため、角膜への物理的な刺激は、違和感を感じた時点ですぐに取り除く必要があります。

結膜炎や感染症が慢性化してしまう恐れについて

糸による物理的な刺激は、角膜だけでなく白目の表面を覆う結膜にも強い炎症を引き起こします。常に異物がある状態は慢性的な刺激となり、結膜が赤く充血したり、目やにが増えたりする原因となります。

また、露出した糸の周りには細菌が付着しやすく、そこを足がかりにして感染症を引き起こすリスクも否定できません。汚れた手で目を触れば、さらにリスクは高まります。

特に注意が必要なのが「巨大乳頭結膜炎」です。これはコンタクトレンズの汚れなどが原因で起こるケースが多いですが、露出した糸や結び目がアレルギー源となり、まぶたの裏側にブツブツとした大きな突起ができるときがあります。

こうなると、激しい痒みや目やにが生じ、コンタクトレンズが一切装用できなくなるだけでなく、日常生活にも大きな支障をきたします。治療には長い期間を要することになります。

終わりのない不快感が引き起こす精神的な負担

目の不快感は、他の部位の痛みと比べても気になりやすく、集中力を著しく低下させます。常に目がゴロゴロしている、いつ激痛が走るかわからないという不安は、想像以上に大きな精神的ストレスとなります。

仕事や勉強に手がつかなくなったり、車の運転が怖くなったりと、QOL(生活の質)を大きく下げる要因になります。

「そのうち治るだろう」と我慢を重ねることは、身体的なダメージだけでなく、精神的な健康をも損なう結果につながりかねません。

せっかく美容のために受けた手術で、逆に毎日が憂鬱になってしまっては本末転倒です。違和感は体からのSOSサインであると認識し、早めに対処すると心の平穏を守ることにもつながります。

こんな症状があったら要注意

  • 瞬きをするたびに決まった場所がチクッとする
  • 目薬をさしてもゴロゴロ感が解消されない
  • 朝起きると目やにで目が開けにくい
  • 光を見ると異常にまぶしく感じて涙が出る
  • 白目の充血が数日間ずっと続いている

鏡でチェック!糸が露出しているか自分で見分ける方法

目に違和感がある場合、実際に糸が出ているのかどうかを自分で確認したいと考えるのは自然なことです。

完全に診断するには医師の診察が必要ですが、セルフチェックで異常の兆候を捉えることは可能です。

部屋の明るさと鏡の角度を工夫して確認するテクニック

自分でまぶたの裏側を見るのは簡単ではありませんが、環境を整えると糸の露出を発見できる場合があります。

まず、部屋を十分に明るくするか、手元を照らせるライトを用意してください。

鏡を顔の正面ではなく下の方に置き、あごを引かずに顔を上げ、目線だけを下げる「伏し目」の状態を作ります。この角度が、まぶたの裏側を見るのに最も適しています。

次に、清潔な指で上まぶたのまつ毛の生え際あたりを軽く持ち上げ、いわゆる「あっかんべー」の逆をするようにまぶたを裏返そうと試みます。

このとき、無理に力を入れると眼球を圧迫してしまうので注意してください。もし糸が露出していれば、ピンク色の粘膜の中に、黒や青色の糸、あるいは白いニキビのような小さな突起が見えることがあります。

ただし、裏留めの結び目は非常に小さく、透明な糸を使用している場合もあるため、見えなくても安心はできません。

セルフチェックで確認すべき症状レベル

危険度レベル自覚症状の特徴推奨される行動
レベル高常に激痛があり、目が開けられない即座に眼科または施術クリニックへ
レベル中瞬きのたびにチクチクし、充血がある数日以内に診察を受けるべき
レベル低時々違和感があるが、痛みはない経過観察し、悪化すれば受診

瞬きの瞬間や視線を動かした時の痛みの特徴で見極める

視覚的な確認が難しい場合、痛みの感じ方が重要な判断材料になります。糸が露出している時の痛みには、特有のパターンがあるからです。

それは、「瞬きをした瞬間に鋭い痛みが走る」ことです。ゴミが入った時のように目全体がゴロゴロするのではなく、ピンポイントで「ここが痛い」と指し示せる場所がある場合、そこに糸の結び目が当たっている可能性が高いと言えます。

また、目を閉じて眼球を上下左右に動かしてみてください。特定の方向を見た時だけ痛みが走る場合も、糸が角膜の特定部位に接触している疑いがあります。

ドライアイによる目の乾きや疲れ目とは異なり、物理的な異物があるような明確な刺激を感じるのが特徴です。この感覚の違いを敏感に察知することが重要です。

充血の場所や目やにの色から炎症レベルを判断する

直接的な痛み以外にも、目の防御反応として現れるサインを見逃さないようにしましょう。糸という異物が粘膜を刺激し続けると、目はそれを排出しようとして涙や目やにを過剰に分泌します。

特に、朝起きた時に目が開かないほど目やにが出ている場合や、黄色や緑がかった膿のような粘り気のある目やにが出る場合は、細菌感染を起こしている可能性が高いです。

また、白目の充血も重要なサインです。目全体が赤いのではなく、黒目の周りだけがリング状に赤くなっていたり(毛様充血)、まぶたの裏側が真っ赤に腫れ上がっていたりする場合は、強い炎症が起きている証拠です。

いつもの疲れ目とは違う、粘り気のある目やにや、数日経っても引かない充血が見られたら、それは糸によるトラブルを疑う十分な根拠になります。

痛くてたまらない時に自宅ですぐにできる応急処置

夜間や休日など、すぐに病院に行けない状況で目の痛みに襲われた場合、正しい応急処置を行うと症状の悪化を防げます。

しかし、間違った対処法はかえって目を傷つける原因となります。ここでは、受診までの間に自分でできる適切な対処法について解説します。

コンタクトレンズの使用停止が痛みを和らげる第一歩

目に違和感を感じた瞬間、最初に行うべきことはコンタクトレンズを外すことです。これが最も効果的かつ重要な応急処置です。

コンタクトレンズは角膜の上に直接乗っているため、露出した糸との間に挟まり、摩擦を増大させて角膜を激しく傷つける原因となります。レンズがあると糸が逃げ場を失い、さらに強く角膜に押し付けられてしまうのです。

また、レンズ自体が糸に引っかかって破損し、破片が目の中に残るという二次被害も考えられます。「少しゴロゴロするけれど、見えないと困るから」と無理をして装着し続けるのは絶対に避けてください。

施術後しばらく経過していても、違和感が出た時点で眼鏡に切り替える決断が必要です。コンタクトレンズを外すだけで、角膜への直接的な圧迫が減り、痛みが大幅に緩和されるケースも珍しくありません。

市販の点眼薬を選ぶ際に注意すべき成分と正しい使い方

受診までのつなぎとして、市販の点眼薬を活用するのも有効な手段です。この時、選ぶべき目薬の種類には細心の注意が必要です。

血管収縮剤が含まれている充血用目薬や、強い清涼感のあるクールタイプの目薬は避けてください。炎症を起こしている目には刺激が強すぎ、かえって症状を悪化させる場合があります。

推奨されるのは、「人工涙液」タイプの目薬です。防腐剤が含まれていない、涙に近い成分のものを点眼すると、角膜の表面を潤し、糸との摩擦を軽減するクッションの役割を果たします。

また、ヒアルロン酸配合の点眼薬も、角膜の保護効果が高いためおすすめです。目薬をさすと異物感は一時的に和らぎますが、根本的な解決にはならないことを理解し、あくまで応急的な保護として使用してください。

患部を刺激せず安静に保つための具体的な過ごし方

目がゴロゴロすると、つい手でこすったり、まぶたを上から押さえたりしたくなりますが、これは最もやってはいけない行動です。

目をこすると、露出している糸が眼球の表面をヤスリのように強くこすることになり、角膜の傷を一気に深めてしまいます。また、不潔な手で触れると細菌が入り込み、感染症のリスクも高まります。

どうしても涙が出て拭きたいときは、清潔なティッシュやガーゼを使い、目の周りを優しく押さえる程度にとどめましょう。患部には決して触れないのが鉄則です。

また、スマートフォンやパソコンの画面を長時間見続けると、瞬きの回数が減って目が乾燥し、摩擦によるダメージが増加します。できるだけ目を閉じて休ませ、安静を保つことが回復への第一歩です。

今すぐできる目の保護アクション

  • コンタクトレンズを外し、眼鏡に変える
  • 防腐剤フリーの人工涙液を点眼する
  • スマホやPCの使用を控え、目を閉じて休める
  • 目を手で触ったりこすったりしない
  • 洗顔時は患部に触れないよう細心の注意を払う

もう我慢できない!修正手術を受けるべきタイミングと治療の流れ

応急処置で痛みが引かない場合や、明らかに糸が出ている場合は、医療機関での処置が必要です。

しかし、「抜糸をしなければならないのか」「再手術が必要なのか」という不安は尽きません。どのような状況でどのような治療が行われるのか、具体的な修正の流れを知っておくと、落ち着いて受診できます。

再手術を決断するための症状レベルと判断基準

再手術や抜糸を検討すべき明確な基準は、「日常生活に支障をきたす持続的な痛みや異物感があるかどうか」です。

一過性の違和感であれば様子を見ることもありますが、角膜に傷がついていると診断された場合や、糸が肉眼で確認できるほど露出している場合は、迷わず処置を受ける必要があります。

また、痛みはそれほど強くなくても、同じ場所に繰り返し炎症が起きたり、目やにが止まらなかったりする場合も要注意です。糸が慢性的な刺激源になっている可能性が高いため、抜糸を検討するタイミングと言えます。

放置して角膜に恒久的な濁りが残るリスクを考えれば、早めの決断が将来の目の健康を守ることにつながります。自己判断で我慢せず、専門家の判断を仰ぎましょう。

抜糸だけで済むのか、かけ直しが必要なのかの分かれ道

糸が露出してしまった場合の対応は、大きく分けて「抜糸のみ」を行う場合と、「抜糸後に再度埋没法(かけ直し)」を行う場合があります。

露出した糸を抜糸すれば、物理的な原因がなくなるため、痛みやゴロゴロ感は劇的に改善します。二重のラインがすでに癒着して定着している人や、これを機に二重を諦める人は、抜糸だけで治療は終了です。

修正治療の選択肢とメリット・デメリット

治療法メリットデメリット
抜糸のみ異物感が即座に消失し、リスクがなくなる二重ラインが消失または薄くなる
抜糸+再固定二重ラインを維持・修正できる再度ダウンタイムが発生し、費用もかかる
切開法へ移行糸を使わないため露出の再発がない不可逆的な手術であり、傷跡が残る

失敗しないために修正クリニック選びで確認すべきこと

修正手術は初回の手術よりも難易度が高くなる傾向があります。一度癒着した組織を剥離したり、埋もれた糸を探し出したりする複雑な工程が必要だからです。

そのため、クリニックを選ぶ際は「修正手術の実績が豊富か」を重視する必要があります。ホームページで他院修正の症例を公開しているか、修正手術のリスクについて詳しく説明しているかを確認しましょう。

また、裏留め法を行った元のクリニックには保証制度がついている場合が多いため、まずは契約内容を確認するのがおすすめです。無料で修正が受けられる場合があります。

しかし、元の医師の対応に不信感がある場合や、技術的な不安を感じる場合は、無理に同じ場所で受けず、セカンドオピニオンとして別の専門医に相談する勇気を持つことも大切です。

他の埋没法なら安心?裏留め法と他術式のリスク比較

これから埋没法を検討している人や、修正手術で術式を変えようか迷っている人にとって、他の術式とのリスク比較は重要な情報です。

裏留め法にはメリットもありますが、リスクの質が他の方法とは異なります。ここでは、表留め法などの他術式と比較して、糸の露出リスクがどのように違うのかを解説します。

表留め法との構造的な違いから見る安全性の差

一般的に普及している「表留め法(皮膚側結紮)」は、糸の結び目をまぶたの表面(皮膚の下)に作ります。これに対し「裏留め法」は結び目をまぶたの裏側(粘膜内)に作ります。

表留め法の最大のリスクは、皮膚の下に結び目が透けて見えたり、ポコッとしたしこりができたりすることですが、万が一糸が露出しても皮膚側に出てくるため、眼球を傷つけるリスクは裏留め法よりも低いと言われています。

一方、裏留め法は皮膚表面に傷がつかないため、術直後からメイクが可能であるという大きな利点がありますが、その代償として、トラブルが起きた時に角膜への直接的なダメージにつながりやすいという構造上のリスクを抱えています。

眼球の安全性という観点だけで見れば、結び目が眼球に触れる可能性の低い表留め法の方が、リスクは低いと考えられます。

瞼板法と挙筋法で糸の露出リスクはどう変わるのか

埋没法には、糸を通す組織によって「瞼板法」と「挙筋法」という分類もあります。瞼板法は、まぶたの縁にある硬い軟骨のような組織(瞼板)に糸をかけます。

瞼板は硬いため糸が安定しやすいですが、瞼板の裏側に糸が通るため、裏留めと同様に糸が露出した際に角膜を傷つけるリスクがあります。

一方、挙筋法は、まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)に糸をかけます。筋肉は柔らかいため、糸が組織の中に沈み込みやすく、角膜への露出リスクは比較的低いとされています。

しかし、挙筋法は解剖学的な知識と高度な技術が必要であり、正しく行われないと眼瞼下垂を引き起こす可能性があります。どの術式にも一長一短があり、一概にどれが一番安全とは言えません。

自分のまぶたの特徴に合った術式を選ぶことが重要

結局のところ、どの術式が「正解」かは、その人のまぶたの特徴やライフスタイルによって異なります。

まぶたが厚く脂肪が多い人は、裏留め法では糸にかかる負担が大きく、外れやすかったり露出したりするリスクが高まるかもしれません。逆に、まぶたが薄い人は、表留め法だと結び目が目立ちやすいため、裏留め法が適している場合もあります。

また、スポーツをする人やコンタクトレンズを頻繁に使う人は、眼球への安全性を最優先に考えるべきでしょう。

インターネット上の口コミや「最新の術式」という言葉に踊らされるのではなく、医師と相談し、自分のまぶたの厚み、硬さ、目の形、そして生活習慣を総合的に判断して選ぶことが大切です。

術式選択時に確認すべき自分のまぶたの特徴

  • まぶたの皮膚が厚いか、薄いか
  • まぶたの脂肪の量は多いか、少ないか
  • 普段コンタクトレンズを使用しているか
  • 花粉症などで目をこする癖があるか
  • ダウンタイムが取れる期間はどのくらいか

術後のトラブルを回避してダウンタイムを快適に過ごすコツ

手術が無事に終わっても、その後の過ごし方次第でトラブルのリスクは大きく変わります。特に術後のダウンタイム期間は、組織が不安定で糸も定着していないため、細心の注意が必要です。

腫れや炎症を最小限に抑えるための生活習慣のポイント

術後数日間は、まぶたに腫れや内出血が出やすい時期です。この時期に血流が良くなりすぎると、腫れが悪化し、組織がむくんで糸が圧迫され、露出のリスクを高めることにつながります。

手術当日から翌日くらいまでは、保冷剤をタオルで包み、優しくまぶたを冷やすことが効果的です。ただし、冷やしすぎは凍傷の原因になるので注意しましょう。

また、寝るときは枕を高くして、頭に血が上らないようにすると、翌朝のむくみを軽減できます。入浴はシャワー程度に済ませ、長時間の湯船への浸かりやサウナは控えましょう。

激しい運動や飲酒といった血行を促進する行為も、腫れが引くまでは控えることが大切です。安静に過ごすことが、組織の早期修復を助け、糸を安定させることにつながります。

術後経過に応じた生活制限の目安

経過時期入浴・洗顔運動・飲酒メイク
手術当日首から下のみシャワー可完全禁止不可
翌日~3日目優しく水洗い可軽い散歩程度なら可アイメイク以外可
1週間後通常通り可通常通り可アイメイクも可

メイクや洗顔を再開する際の注意点と肌への配慮

裏留め法は「術直後からメイク可能」と謳われることが多いですが、実際には慎重な判断が必要です。理論上は皮膚に傷がないためメイクは可能ですが、まぶたは腫れて敏感になっています。

アイシャドウの粉やアイライナーの成分が目に入ると、感染症の原因になったり、クレンジングの際に強くこすってしまったりするリスクがあります。

できれば術後2〜3日はアイメイクを控え、まぶたへの負担を減らすのが賢明です。洗顔に関しても、ゴシゴシと洗うのは厳禁です。洗顔料をたっぷりと泡立て、泡で包み込むように優しく洗いましょう。

タオルで拭く際も、こすらずに水分を吸い取るように押さえるだけにします。毎日の小さな刺激の積み重ねが、糸の緩みや露出につながることを意識し、優しく扱う習慣をつけましょう。

医師の指示を守り定期検診を受けることの重要性

クリニックから処方される点眼薬や抗生剤、痛み止めは、必ず指示通りに使用してください。これらは感染症を防ぎ、炎症を早く鎮めるために必要なものです。

「痛くないから飲まない」「面倒だから目薬をささない」といった自己判断は、思わぬトラブルの引き金になります。医師は経過を予測して薬を出しているのです。

また、術後の定期検診も非常に重要です。自分では気付かない小さな異変や、糸の露出の兆候を医師が早期に発見してくれる場合があります。

もし検診の設定がないクリニックでも、少しでも不安があれば自ら予約を取って診てもらう行動力が必要です。医師と連携し、正しいアフターケアを行うことが、美しい二重まぶたを長く維持するための近道となります。

よくある質問

裏留め埋没法の術後にゴロゴロ感が続く期間は?

通常、手術直後の麻酔の影響や組織の腫れによるゴロゴロ感は、数日から1週間程度で治まります。

しかし、2週間以上経過しても裏留め埋没法による違和感が消えない場合や、日に日に痛みが強くなる場合は、糸が露出している可能性があります。早急に医師の診察を受けてください。

埋没法の糸が出てきたら自然に治ることはある?

いいえ、一度露出してしまった埋没法の糸が自然に再び埋没して治ることはありません。

放置すると角膜を傷つけ続けるため、自然治癒を待つのではなく、必ず医療機関で抜糸や修正処置を受ける必要があります。

裏留め手術を受けた後にコンタクトはいつから使える?

一般的に、裏留め手術の後は腫れが引くまでの3日から1週間程度はコンタクトレンズの使用を控えることが推奨されます。

無理に早期から使用すると、裏留め手術の糸とレンズが擦れて露出リスクを高めたり、感染症の原因になったりします。医師の許可が出てから使用を開始してください。

他院で受けた埋没法の修正は可能か?

はい、多くのクリニックで他院で行った埋没法の修正手術を受け付けています。

ただし、前回の術式や糸の状態によっては難易度が高くなるため、他院修正の経験が豊富な医師を選ぶことが重要です。まずはカウンセリングで現状を診てもらいましょう。

埋没法の糸が露出して激痛がある場合はどう対応する?

埋没法の糸が露出して激痛がある場合は、緊急性が高い状態です。

ただちにコンタクトレンズを外し、目をこすらないようにして、施術を受けたクリニックまたは最寄りの眼科へ緊急連絡を入れてください。

休日や夜間でも、救急対応している眼科を探して受診することをお勧めします。

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この記事を書いた人

Dr.王子 富登のアバター Dr.王子 富登 日本形成外科学会専門医

オジスキンクリニック医師 / 日本医師会認定産業医 / 医学博士

2010年慶應義塾大学医学部卒業。慶應義塾大学病院形成外科、東邦大学医療センター佐倉病院形成外科(医局長)などを経て現職。 形成外科専門医として大学病院で研鑽を積み、2016年度には眼瞼下垂手術の執筆症例数が千葉県最多を記録。まぶた眼瞼外来の開設や、大手美容クリニックでの勤務経験も併せ持つ。

「目の前の患者さんを自分の家族だと思ってメスを持つ」を信条に、二重整形、眼瞼下垂、まぶたのたるみ治療、他院修正など、「まぶた治療」のスペシャリストとして機能と美しさを両立させる緻密な手術に定評がある。

【所属学会】
日本形成外科学会
日本美容外科学会(JSAPS)
日本頭蓋顎顔面外科学会

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